要件Ⅴとは何か
キャリアパス要件Ⅴは、「介護福祉士等がいること」だけでは足りません。処遇改善加算を算定する事業所、またはその事業所が併設している本体施設等で、サービス類型ごとに、要件Ⅴで確認する加算一覧サービスごとに、要件Ⅴで確認する加算ルートを示す表です。
介護保険最新情報 Vol.1479(2026年3月13日)別添1
老発0313第6号 別紙1表3に定められた加算・ルートの届出が実際にできていることまで求めます。
つまり、要件Ⅴは「人員の雰囲気」ではなく、届出可能な体制が証明できることが本体です。
箱Bサービスは要件Ⅴを見ません
箱Bサービス(訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援、介護予防支援)は、6月以降も 要件Ⅴを見ません。箱Bは特例要件ルート、または処遇改善加算Ⅳ取得に準ずるルートで見ます。要件Ⅴを確認するのは、要件Ⅴで確認する加算一覧サービスごとに、要件Ⅴで確認する加算ルートを示す表です。
介護保険最新情報 Vol.1479(2026年3月13日)別添1
老発0313第6号 別紙1表3の対象となっている箱Aサービスです。
まず、自分のサービスで何を見るか
サービスごとに、要件Ⅴで見るべき加算が異なります。ここを間違えると、下のA〜Eを全部読んでもズレます。
| 自分のサービス | 要件Ⅴで見る加算 |
|---|---|
| 訪問介護 | 特定事業所加算Ⅰ又はⅡ(サ提強ではない) |
| 夜間対応型訪問介護/定期巡回・随時対応型訪問介護看護/訪問入浴 | サービス提供体制強化加算Ⅰ又はⅡ |
| 通所介護/地域密着型通所介護/認知症対応型通所介護/通所リハ | サービス提供体制強化加算Ⅰ又はⅡ※地域密着型通所介護は、療養通所介護費を算定する場合に限りⅢイ又はⅢロも対象 |
| 小規模多機能/看護小規模多機能 | サービス提供体制強化加算Ⅰ又はⅡ(会議・研修が前提) |
| 認知症対応型共同生活介護(GH) | サービス提供体制強化加算Ⅰ又はⅡ |
| 特定施設/地域密着型特定施設 | サービス提供体制強化加算Ⅰ・Ⅱ 又は 入居継続支援加算Ⅰ・Ⅱ |
| 特養/地域密着型特養 | サービス提供体制強化加算Ⅰ・Ⅱ 又は 日常生活継続支援加算Ⅰ・Ⅱ |
| 短期入所生活介護/短期入所療養介護 | サービス提供体制強化加算Ⅰ・Ⅱ 又は 併設本体施設において処遇改善加算Ⅰの届出あり |
| 老健/介護医療院 | サービス提供体制強化加算Ⅰ又はⅡ |
特定事業所加算Ⅰ・Ⅱ
これは、訪問介護の体制・研修・情報伝達・資格者割合・サービス提供責任者の力量を評価する加算です。要件Ⅴで使うときは、訪問介護はサービス提供体制強化加算ではなく、この特定事業所加算Ⅰ又はⅡを見る、というのが最重要ポイントです。
共通で必要な4要件
- すべての訪問介護員等について個別の研修計画を作ること
- 利用者情報や留意事項の伝達、サービス提供責任者による技術指導のための定期会議を行うこと
- すべての訪問介護員等に対して健康診断等を定期的に行うこと
- 緊急時の対応方法を、利用者に明示していること
特定事業所加算Ⅰ(共通4要件+3段のハードル)
- 資格者割合:介護福祉士30%以上、または 介護福祉士+実務者研修修了者等 50%以上のいずれか
- サービス提供責任者要件:3年以上の実務経験がある介護福祉士、または 5年以上の実務経験がある実務者研修修了者等で構成されていること。サ責を複数置く必要がある事業所では、常勤サ責2名以上が必要
- 重度者等受入割合:前年度または算定月前3か月の利用者のうち、要介護4・5、認知症、喀痰吸引等が必要な利用者の割合が20%以上
特定事業所加算Ⅱ
共通4要件を満たしたうえで、資格者割合要件またはサービス提供責任者要件のどちらかを満たせば足ります。つまり、Ⅱは「Ⅰより軽いが、それでも体制加算としてはかなり重い」という理解で正しいです。
管理者が最初に確認する4点
- 研修計画は個別具体的か
- 会議録とサ責の伝達記録が残っているか
- 資格者割合が足りているか
- サ責の経歴要件を満たしているか
残す証拠
サービス提供体制強化加算Ⅰ・Ⅱ
ここが一番誤解されやすいところですが、サービス提供体制強化加算は「全部同じ基準」ではありません。サービスごとに、分母に入れる職員が誰か、必要な介護福祉士割合が何%か、研修計画や会議が必要か、質の向上に資する取組が必要か、が変わります。
B-1 通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護・通所リハ
| 区分 | 要件 |
|---|---|
| Ⅰ | 介護福祉士70%以上、または 勤続10年以上の介護福祉士25%以上 |
| Ⅱ | 介護福祉士50%以上 |
| 共通 | 対応する人員基準欠如等の減算に該当しないことが必要 |
B-2 認知症対応型共同生活介護(GH)
| 区分 | 要件 |
|---|---|
| Ⅰ | 介護福祉士70%以上、または 勤続10年以上の介護福祉士25%以上 |
| Ⅱ | 介護福祉士60%以上 |
| 共通 | 減算非該当が前提 |
B-3 小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護
小多機・看多機は、研修計画と定期会議がまず必要です。そのうえで割合要件を見ます。
小規模多機能型居宅介護
| 区分 | 要件 |
|---|---|
| 前提 | 研修計画と定期会議が必要。分母は看護師・准看護師を除く従業者で見る |
| Ⅰ | 介護福祉士70%以上、または 勤続10年以上の介護福祉士25%以上 |
| Ⅱ | 介護福祉士50%以上 |
看護小規模多機能型居宅介護
| 区分 | 要件 |
|---|---|
| 前提 | 研修計画と定期会議が必要。分母は保健師・看護師・准看護師を除く従業者で見る |
| Ⅰ | 介護福祉士70%以上、または 勤続10年以上の介護福祉士25%以上 |
| Ⅱ | 介護福祉士50%以上 |
B-4 訪問入浴介護
訪問入浴は、全員分の研修計画/定期会議/健康診断等が前提です。そのうえで割合要件を見ます。
| 区分 | 要件 |
|---|---|
| 前提 | 全員分の研修計画、定期会議、健康診断等が必要 |
| Ⅰ | 介護福祉士60%以上、または 勤続10年以上の介護福祉士25%以上 |
| Ⅱ | 介護福祉士40%以上、または 介護福祉士+実務者研修等 60%以上 |
B-5 特定施設・地域密着型特定施設でサービス提供体制強化加算を使う場合
| 区分 | 要件 |
|---|---|
| Ⅰ | 介護福祉士70%以上、または 勤続10年以上の介護福祉士25%以上。さらに質の向上に資する取組が必要 |
| Ⅱ | 介護福祉士60%以上。減算非該当が必要 |
B-6 施設・短期入所系(特養・短期入所生活介護・老健・介護医療院)
地域密着型特養
| 区分 | 要件 |
|---|---|
| Ⅰ | 介護福祉士80%以上、または 勤続10年以上の介護福祉士35%以上。さらに質の向上に資する取組が必要 |
| Ⅱ | 介護福祉士60%以上 |
短期入所生活介護
| 区分 | 要件 |
|---|---|
| Ⅰ | 介護福祉士80%以上、または 勤続10年以上の介護福祉士35%以上 |
| Ⅱ | 介護福祉士60%以上 |
| 共通 | 減算非該当が前提 |
介護老人保健施設
| 区分 | 要件 |
|---|---|
| Ⅰ | 介護福祉士80%以上、または 勤続10年以上の介護福祉士35%以上。さらに質の向上に資する取組が必要 |
| Ⅱ | 介護福祉士60%以上 |
介護医療院
老健の基準を準用します。
B群全体に共通する管理者チェック4点
- 分母に入る職員が誰か
- 資格者割合がいま何%か
- 退職・異動予定で崩れないか
- 会議・研修・質向上取組など、割合以外の要件があるか
残す証拠
「サ提強Ⅱなら全部のサービスで同じ基準」「看護職も分母に入れてよい」「資格者割合だけ見ればよい」の3つはすべて誤りです。サービス群ごとに分母も要件も違います。
日常生活継続支援加算Ⅰ・Ⅱ
中重度者・認知症高齢者・喀痰吸引等が必要な入所者を多く受け入れ、そのうえで介護福祉士を厚く配置している施設を評価する加算です。
要件の中心(いずれか1つ)
- 新規入所者の要介護4・5割合70%以上
- 認知症自立度の高い新規入所者割合65%以上
- 喀痰吸引等が必要な入所者割合15%以上
介護福祉士配置
6:1が原則。一定の介護機器導入や委員会・安全体制・研修等を満たすと、7:1でも可になります。
ⅠとⅡの違い
主として算定している基本サービス類型の違いです。従来型側がⅠ、ユニット型側がⅡで見る整理です。管理者としては、ⅠかⅡかのラベルより、イ(2)〜(4)の中身を満たしているかを見る方が大事です。
管理者が最初に確認すること
- 新規入所者ベースで該当割合が出ているか
- 介護福祉士配置が6:1または7:1要件を満たすか
- 介護機器や委員会運営の証拠があるか
残す証拠
「6:1/7:1は特養全体の一般配置基準」は誤りです。これは日常生活継続支援加算ルートの要件です。また、喀痰吸引等対象者割合などの要件を満たせない状態が常態化して3か月以上続いた場合は変更届が必要です。
入居継続支援加算Ⅰ・Ⅱ
医療的ケアが必要な入居者を一定割合以上受け入れ、そのうえで介護福祉士を手厚く配置している特定施設を評価する加算です。
要件
| 区分 | 医療的ケア対象者割合 |
|---|---|
| Ⅰ | 喀痰吸引等が必要な入居者割合15%以上、または 一定の医療的状態にある者を合わせて15%以上 |
| Ⅱ | その割合が5%以上 |
介護福祉士配置
6:1が原則。日常生活継続支援加算と同様、一定のテクノロジー導入や委員会・安全体制・研修等を満たすと、7:1でも可になります。
管理者が最初に確認すること
- 医療的ケア対象者の割合が足りるか
- 看護体制が維持できているか
- 介護福祉士配置が6:1または7:1要件を満たすか
残す証拠
「6:1/7:1は有料老人ホーム全体の一般要件」は誤りです。これは入居継続支援加算ルートの要件です。また、医療的ケア対象者割合が足りなくなった状態が常態化して3か月以上続いた場合は、要件Ⅴの変更届の対象になります。
併設本体施設ルート
このルートは、ショート単独で要件Ⅴを満たすのではなく、併設本体施設で処遇改善加算Ⅰの届出があることで要件Ⅴを充足させる考え方です。
管理者が最初に確認すること
- ショートの本体施設が何か
- その本体で処遇改善加算Ⅰの届出が現に生きているか
- 本体とショートの関係が説明できるか
残す証拠
「本体施設がいまⅠロだから、ショートも自動的に安全」は誤りです。見るべきは、本体の処遇改善加算Ⅰルートが有効かどうかです。また、短期入所療養介護は類型が分かれるので、ショート単独でサ提強を使う場合は、類型別の要件一覧を最終確認してください。
管理者が要件Ⅴを確認する順番
この順で見れば、初学者でも抜けにくいです。
- 1自分のサービスが表3のどの行にいるかを確認する
- 2必要な担保加算が何かを確認する(上の「サービス別の見どころ」で確認)
- 3その加算の要件を見る:職員割合・利用者割合・研修・会議・質向上取組・看護体制など
- 4届出が現に生きているかを確認する
- 5退職・異動・利用者構成変化で、3か月以内に崩れないかを見る
- 6証拠資料が残っているかを確認する
よくある誤解まとめ
- 訪問介護の要件Ⅴ は、サービス提供体制強化加算ではなく特定事業所加算Ⅰ又はⅡです。
- 箱Bサービスは要件Ⅴを見ません。 6月以降も、訪問看護・訪問リハ・居宅介護支援・介護予防支援は、特例要件またはⅣ準拠ルートで見ます。
- 地域密着型通所介護のⅢイ・Ⅲロ は、療養通所介護費を算定する場合だけです。一般の地域密着型通所介護でⅢイ・Ⅲロを持ち出してはいけません。
- 6:1/7:1 は、特養や有料老人ホーム全体の一般要件ではありません。 日常生活継続支援加算・入居継続支援加算のルートの話です。
- 本体施設ルートは、本体処遇改善加算Ⅰの有効性を見るのであって、UI上のⅠイ・Ⅰロの表示をそのまま読む話ではありません。